令和七年三月中旬 群馬県みどり市の稲荷神社に参拝しました。

寛政三年(1791)現本殿建立
御祭神 宇賀御魂命

中には立派な御本殿が鎮座していました。

兎ノ毛通しには麒麟があります。

中備の応龍。普通 応龍は2本脚ですが これには脚が一本もありません。

因みに 秩父市の三峰神社↓では4本脚の応龍を見た事があります。

左側脇障子の狐。

正面扉脇には梅に鶴が彫られています。普通 鶴には松か竹です。鶴に梅を合わせるのは梅妻鶴子の林和靖。なので これは林和靖を暗示する「留守模様」かも知れません。

留守模様とは 刀の鍔や簪などの小物に 画題の主役を描かず脇役だけで物語を連想させる手法です。
スペースが十分にある寺社彫刻ではほとんど見かけませんが 全く無い訳ではありません。例えば 「二十四孝に会いに行く!」の東置賜郡 貞泉寺・16 孟宗の筍と鍬 ではタケノコと鍬だけで二十四孝の孟宗を表現する欄間が紹介されています。
右側脇障子の狐。

右側に廻ります。

窓ガラスには磨いた跡が。。。先人の苦労が偲ばれます。

御本殿には見事な胴羽目彫刻がありました。

これは仙人の烏鷺ですね。爛柯ともいいます。烏鷺も爛柯も囲碁の事です。

木こりの王質が山に入ると 碁を打っている者がいました。

王質はしばらく碁を見ていましたが ふと気が付くと斧の柄が腐るほど年月が経っていました という不思議なお話。

お話によって 仙人だったり 童子だったり。

二重虹梁間には龍。

大虹梁下には唐獅子牡丹と鶴。変わった組み合わせだなと思いましたが よく見ると別々の彫り物でした。

腰羽目。群馬に因んで馬なのかな と思うのは安直過ぎるでしょうか?

御本殿左面です。

大虹梁上の龍。

大虹梁下の菊水と鶴と唐獅子牡丹。

胴羽目。これは何でしょう?

釣竿らしき物があります。

釣竿といえば 浦島太郎か彦火火出見命か太公望。

1番可能性が高いのは太公望かなと思いますが ちょっと違う様な?

一体どちら様でしょう。

追記(2025.05.02)やはりこれは太公望で良さそうです。橘守国の絵本写宝袋に元絵と思われる物がありました。

刺青師・龍元
032(2025.05.01)
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