三条小鍛冶宗近(さんじょう こかじ むねちか)
平安時代の伝説の刀匠。京の三条に住んでいた事から三条宗近と呼ばれた。10-12世紀の人物とされ、資料によって幅がある。現存する有銘の作刀は極めて少ない。天下五剣の一つ、三日月宗近は国宝である。
鍛錬と作刀をする刀鍛冶の事を小鍛冶、対して日本刀の原料となる玉鋼(たまはがね)を作る鍛治を大鍛治という。
「小鍛冶」
霊夢を見た一条天皇は名工と名高い宗近に御剣(みつるぎ)を打つ様に命じる。刀の鍛錬には自分と同等の力量の相槌が必要だが、相方を見付ける事が出来ずに進退極まった宗近は稲荷明神に祈願に出掛けた。
すると一人の少年が現れて、火に囲まれた日本武尊(やまとたけるのみこと)が草薙の剣(くさなぎのつるぎ)で草をなぎ払い炎を敵に返す、という日本神話の名場面を話し始めた。不思議な事に少年は勅令の事を既に知っていて、宗近に力添えを約束して稲荷山へ消えて行った。
宗近が言われるままに身支度をして鍛冶壇に上がり礼拝をしていると、稲荷明神から狐の精霊がやって来て相槌を務めると言う。先程の少年は稲荷明神の化身であったのである。
完成した御剣の表には小鍛冶宗近、裏には小狐の銘が刻まれた。こうして二つの銘が刻まれた名刀「小狐丸」が朝廷に献上された。
刺青師・龍元