後藤縫之助 [大森鳥見神社] 千葉県

八幡太郎義家 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和二年十一月、千葉県印西市の大森鳥見神社に参拝しました。

大森鳥見神社鳥居

この界隈に20数社ある鳥見神社の内の一つ。

大森鳥見神社拝殿

御由緒

創建年代不詳
崇神天皇御代(BC97~30)創立とする説あり
文久三年(1863)現本殿再建
大正二年(1913)拝殿・煉瓦玉垣建築
御祭神 饒速日命にぎはやひのみこと 御炊屋姫命みかしきやひめのみこと 字摩志眞知命うましまぢのみこと 
彫師 後藤縫之助


玉垣が煉瓦造りです。珍です。大正二年の建築だそうです。

大森鳥見神社御本殿

太正ロマンというかレトロな感じですね。スゴく良い感じです。

大森鳥見神社御本殿

彫刻彫師は後藤縫之助。私の中のランキングでは1、2を争う彫師です。

大森鳥見神社御本殿

懸魚には化け鯉。

化け鯉

この力神は縫之助にしては今ひとつな感じです。

力神

胴羽目は常盤御前と三人の息子・今若・乙若・牛若。

常盤御前

義経の父・源義朝が討たれ、三人の息子達を連れた常盤御前が逃げている場面です。雪の中を歩き疲れて、四人固まって休んでる姿。

おそらく今若であろう奥の子供のアホっ子な顔にシビれます。「お前、状況わかってんのか!」って言いたくなります。群馬の小泉神社にも常盤御前の逃避行の胴羽目があって、あちらの今若は憂鬱な表情でしたが、こちらの今若はさすが縫之助って感じです。

常盤御前 今若 乙若 牛若

木階きざはしの下にはひっそりと蝦蟇がま仙人こと劉海蟾りゅうかいせん

蝦蟇仙人 劉海蟾

背面。

大森鳥見神社御本殿

胴羽目は新羅三郎しんらさぶろう源義光。

新羅三郎源義光

笙の名手であった新羅三郎義光は、後三年の役に際して、兄である義家の苦戦を知って、官を辞して応援に向かった。この時、秘曲 の「大食調調子」が廃れてしまうのを恐れて、見送る豊原時秋に伝授した、という話。

新羅三郎義光

服には文様が彫り込まれています。ちょっとデッサンが狂っているのはご愛嬌。縫之助ならではの”あじ”です。

新羅三郎源義光

右面。

大森鳥見神社御本殿

こちらの懸魚には飛龍。化け鯉は飛龍と対になる事が多いように思います。

飛龍

力神。

力神

胴羽目は八幡太郎源義家。

八幡太郎源義家

こちら側の木階下には鉄拐先生が来るのかと思ったのですが、なぜか鳥。きじでしょうか。

雉

犀。

犀

縁下組物の間には縫之助一流の唐獅子牡丹がありました。

唐獅子牡丹
唐獅子牡丹

期待通りの素晴らしい彫り物でした。

刺青師・龍元

270(2020.11.27)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    こうして写真を見ると、いい雰囲気ですね!
    服に紋様まで彫ってあったのですね!!
    名工と言われる方の作品はやはり凄いですね!!!

    そういう場面の子供の顔でしたか?(笑)

    • 龍元 より:

      東京駅や横浜赤レンガ倉庫・函館レンガ倉庫もここの玉垣と同じ頃の建設ですね。レンガが新建材として注目されていたのでしょうね。
      これがアリなら、どこだかでサイディングの修繕をしていた神社は、後100年くらいしたら「レトロだね〜」なんて言われるかも知れません。

      私の縫乃助イチ押しは常総市日枝神社の武内宿禰です。

      近所の小学生にこんなアホっ子がいそうですね。手が焼けるけれども放っておけない様な愛くるしさがあります。

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