明けましておめでとうございます。今年も新年寺社彫刻巡礼の旅に行って来ました。
今年は30社廻って、うち一社は鳥居を潜りはしましたが、急な石段が危険との事で鎖で封鎖されていたので断念しました。なので、参拝したのは29社です。
栃木県北部から始めて、茨城県北部、福島県を廻る予定でしたが、福島県白河市に行ったところで雪のため茨城県に戻りました。
令和四年新年寺社彫刻巡礼の旅一社目は以前から訪れたいと思っていた栃木県那須烏山市の日枝神社です。



いつもの様に右から廻りましたが、彫刻の順番の関係で今回は左面から紹介します。

海老虹梁は松に鳥。椋鳥か何かですかね。鳥は難しいですね。

胴羽目は「牛若丸剣術を修す」。父・義朝が敗死したため、母の常盤御前が平清盛の側室になる事で幼少の義経は助命され、鞍馬寺に稚児として預けられました。

牛若は裏の鞍馬山で烏天狗たちを相手に剣術を修めます。

松の木にお猿さんが三匹座っているのは、ここが日枝神社だからでしょうか。

細めの脇障子には天人風の女性。反対側の脇障子との兼ね合いから「西王母」ではないかと思います。

けっして美人ではないですが、独特の表情に惹きつけられます。

彫りは素朴な感じです。



鞍馬天狗僧正坊と牛若丸。

巻物を手にする牛若丸。

いよいよ免許皆伝「鞍馬天狗、牛若丸に兵法書を授く」です。


いよいよお目当ての胴羽目です。


牛若丸はよく見かけますが、弁慶の彫り物は珍しいです。

実は弁慶と牛若の出逢いは出典によって違いがあります。「義経記」では義経はこの時もう19歳、元服後の立派な侍だし、「橋弁慶」では義経が千人斬りをしていて弁慶が退治に行くという、全く逆の設定。義経と弁慶は人気があるので、他にも色々な筋書きの物語があります。

今日よく知られた「刀千本狩りの願を立てた弁慶が五条大橋で義経に返り討ちにあう」という筋書きは、明治に書かれた巌谷小波の「日本昔噺」によるものというのが通説の様です。

右側脇障子は、西王母から桃を盗んで800年生きたという「東方朔」だと思います。

こちらの海老虹梁は山鵲。かなりデフォルメの効いた可愛らしい感じの彫りです。

覆屋の窓も御本殿を鑑賞しやすく作ってあり、申し分ありません。

今年も一社目から素晴らしい彫り物に出会えました。

まあ、選んだんですけどね。
刺青師・龍元
001(2022.01.07)
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