何故この一枚だけ? [時平神社] 栃木県

時平神社御本殿 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和二年九月吉日、栃木県栃木市の時平神社に参拝しました。

時平神社鳥居

御祭神 天津児屋根命あまつこやねのみこと

まるで集会所に向拝をつけただけの拝殿。社務所も兼ねている様です。もしかしたら、これが合理的なのかも。

時平神社拝殿

それでも裏へ廻れば立派な御本殿がありました。大分傷んではいますが。。。

時平神社御本殿

左面胴羽目は定番と言っても良い位によく見掛ける楊香ようこう

二十四孝 楊香

海老虹梁には龍がありました。

海老虹梁の龍

脇障子。これは、穢れた許由きょゆうの耳を洗った川の水を牛に飲ませる訳にはいかない、と言って牛を連れて引き返した巣父そうほでしょうか。

巣父

背面胴羽目は、訪ねた家でおやつに出されたミカンを母の為に隠し持って帰ろうとしたら、バレて咎められている孝行息子の陸績りくせき

二十四孝 陸績
時平神社御本殿

歯のない姑に乳を吸わせる唐夫人。それを見た子供はもう弾けちゃって踊ってます。こんな場面を目撃したら私もこうなるでしょう。

唐夫人

右側脇障子は母の為に真冬に筍掘りをする孟宗もうそう

二十四孝 孟宗

海老虹梁の龍。

海老虹梁の龍

扉には宝尽くしが彫られていました。隠れ笠・隠れ蓑・打ち出の小槌・宝袋ですかね。その上には金鶏、扉脇板には龍があります。

宝尽くし

胴羽目三面と右側脇障子は二十四孝から。なぜか左側脇障子だけは二十四孝ではなく、巣父でした。これも二十四孝にするか、もしくは右側脇障子を許由にした方が自然に思えます。何か理由があったのか。

時平神社御本殿

目に沁みる赤が印象的な神社でした。

刺青師・龍元

202(2020.09.20)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    この神社に行った時は何の疑問も感じなかった
    のですが、集会所の向拝は口元が緩みます。(笑)

    唐婦人は「おいらのだよー!」って、泣きべそを
    かいてほしいです。(大笑)

    • 龍元 より:

      色々な所がありますよね。お財布の事情もあるでしょうし。

      唐夫人の子供の表現は色々あって見所の一つですよね。

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