令和八年十月下旬 福島県本宮市の岩角山岩角寺に参詣しました。
今回は毘沙門堂をご紹介します。

仁寿元年(851)岩角寺開山
引長元年(1261)毘沙門堂建立
文久二年(1862)現堂宇建立
昭和九年(1934)屋根葺き替え
彫師は不詳とされている様です。

兎ノ毛通の応龍。

応龍もすごいんですが 何と言っても 向拝中備の龍が大迫力です。目にした瞬間 思わず おお! と感嘆の声を漏らしてしまいました。

写真では伝わりにくいですが 非常に大きくて迫力があります。

この龍だけでも 遠路遥々やって来た甲斐があります。

ここは水引虹梁が二重になっていて 上の虹梁の上には 須佐之男命。という事は 下の龍は八岐大蛇なのでしょう。

でも この須佐之男命のお目々は真っ黒のドングリまなこ。これはどうなんでしょう。寺社彫刻では 眼玉は蛇の目と相場は決まっています。後世の人の仕業でしょうか。

と思って見返してみると 八岐大蛇の目もただの黒丸。と思いましたが もしかしたら経年変化で真っ黒に見えているだけかもしれません。

唐破風下には 櫛名田比売命です。

この人は 風とか波の勢いを表現をするのが 非常に巧みな様です。

須佐之男命に守られて安心しきった様な表情。

海老虹梁の横の奉納額に描かれているのは 大江山の鬼退治の山伏姿の源頼光と洗濯女でしょうか。

海老虹梁の龍も特筆物です。

こちらの龍はきちんと蛇の目になっていて良かったです。

裏側も手を抜きません。

右側の海老虹梁。

こちらの龍は より凶悪な面構えです。

海老虹梁というからには梁の一種の筈ですが 非常に繊細な造りのこの海老虹梁は もはや構造材としての強度はほぼ無いものと思われます。むしろ自重を支えるのがやっとといった印象。

さて さっきからチラチラ見える後ろ姿が気になっている人も多いと思います。

軒下四隅には 大好きな力神さまが鎮座していました。

右側前方 南向きの力神さまから見ていきます。

関東では縁下や妻飾りに鎮座する事が多い力神さまですが 東北では軒下四隅に鎮座する事も多いです。

ここの力神さまは 人間の姿をした力士型。

正統派の力神さまです。

次は右後ろの角 東向きの力神さま。

私は力神さまを 力士型・邪鬼型・唐子型・天狗型・動物型に分類しています。

こちらの力神さまは吽形です。

力神さまは 交互に阿形と吽形になっている事が多いです。

こんな隙間からも確認したくなります。

左後ろ 北向きの力神さま。

北向きなので 少し暗いです。

阿形です。

あ”〜〜‼︎

左側前方 西向きの力神さま。

足幅ほどしかない細い尾垂木に 両足をそろえて踏ん張っていらっしゃいます。

口をへの字に結んでいます。

百六十年以上も屋根を支え続けていらっしゃいます。

さらに登ったところに鎮座する 奥之院阿弥陀堂や那智堂にも彫刻がありました。其の二に続きます。
刺青師・龍元
050-01(2026.11.04)

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