令和七年十二月中旬 埼玉県吉見町の息障院光明寺に参詣しました。

天平年中(729-49)開創
大同年中(806-10)開基という説あり
御本尊 不動明王

お目当ては山門です。

虹梁上の龍です。

正統派の龍といった感じです。

凛々しいです。

この龍には馴染みがあります。

こちら↓は東秩父市八幡神社の向拝の龍。同じ人 もしくは同門の人の作でしょうか。

扉上にも ギッシリと彫刻が詰まっています。

虎渓三笑。

虎渓三笑とは あることに夢中になって 他のことを全て忘れてしまう事を言います。

浄土宗の始祖の慧遠は廬山の寺にこもって 虎渓よりも外に出ない と誓っていました。

ある日 詩人の陶淵明と道士の陸修静が慧遠法師の元を訪れ その帰りを見送るときに話に夢中になって いつの間にか虎渓を通りすぎてしまいました。

虎が吠える声を聞いて 初めてそのことに気づき 三人で大笑いをした と伝わります。

こちらの人物にも見覚えがあります。

こちら↓は上記の龍と同じく 東秩父市八幡神社の背面胴羽目の武内宿禰。

もっと探すと さらに瓜二つの彫り物がありました。

こちら↓は東松山市の箭弓稲荷神社拝殿 脇障子の黄石公。

う〜ん と唸ってしまいます。。。。
虎渓三笑の上には邪鬼獅噛みがありました。

獅噛みというのは 獅子の頭を紋様化・装飾化したもので 魔除けや厄除けの意味を持ちます。

「邪鬼獅噛み」というのは 若林純著の本に載っていたので 私はそう呼んでいますが 他では聞いた事がありません。ググると私のサイトばかり引っ掛かります。俺だけか〜!?

獅噛みの両脇には天女がありました。


端正な顔立ちの天女です。


境内側から見た門。

虎渓三笑の裏は虎が二匹いました。

虹梁上には孔雀。

側面の貫と虹梁の間や笈形にも 立派な彫刻がこれでもかと言わんばかり。持ち送りも 付けられる所には全部付けて 非常に贅沢な仕上がりとなっています。

貫上の鳳凰。

境内側の鳳凰。

鳳凰のお尻です。

大瓶束の両脇には 笈形というには立派すぎるくらいの彫り物がありました。


右側の妻の龍。

どの龍も素晴らしく この辺りに沢山の彫り物を残している一門の龍に似ていると思います。

今年はここで終わりです。
年々 回る数が減って来ていますが これは飽きたからではなく 近場の寺社は周ってしまって遠くまで行かなきゃならない事と 今年から動画を撮り始めた事が大きいです。寺社彫刻に対する情熱はいささかも変わっておりません。
情報提供してくださった方々
画題などご教示くださった方々
コメントを寄せてくださった方々
に感謝いたします。
来年もよろしくお願い致します。良いお年をお迎えください。
刺青師・龍元
078(2025.12.29)

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