古代中国の伝説に取材した [菅原神社] 神奈川県

菅原神社御本殿 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年七月下旬 神奈川県愛川町の菅原神社に参拝しました。

菅原神社鳥居

御祭神 菅原道真公すがわらみちざねこう

菅原神社

社殿の中には立派な御本殿が鎮座していました。

菅原神社御本殿
御本殿向拝

向拝の龍です。

向拝の龍

鱗は小さ過ぎず トゲも細かくなり過ぎず 遠目にもくっきりとした造形です。

龍
菅原神社御本殿
菅原神社御本殿

右面胴羽目と背面胴羽目はセットで 黄石公と張良です。

始皇帝の暗殺に失敗した張良は 下邳かひという町に身を潜めていた

張良

ある日 張良が橋の袂を通りかかると 汚い老人がくつを橋の下に放り投げた
『おい若いの 下りて沓を取ってこい』

黄石公

張良は殴りつけてやろうかと思ったが 相手が老人なので我慢して沓を取って来た

張良

『履かせろ』

馬

張良は『すでに拾ってきてやったんだから』と考え 老人に沓を履かせた
『5日後の早朝ここに来い』

張良

5日後の朝 日が出てから張良が行くと 老人は既に来ていた
『遅い! 5日後ワシより早く来い』

黄石公

5日後 夜が明ける前に 再び行くと 老人はまた沓を落とした
その時 大蛇(龍)が現れて沓を取り 張良に襲いかかった

龍

張良は剣を抜き 剣の光を恐れた大蛇から履を取り戻して 老人に穿かせた

張良

老人は張良に一編の書物を渡した
『これを読めば王者の師となれる』
授かった書は太公望の兵法書で 張良は不思議に思いながらもこの書を繰り返し誦読した

黄石公

後に 張良は軍師として 劉邦の天下統一を助け 漢の三傑の一人に数えられる様になる

張良
菅原神社御本殿

左面胴羽目は菊慈童。

菊慈童

慈童は穆王ぼくおうの寵愛を受けますが 官人の妬む所となり 過失を嫁せられ深山幽谷に流刑になります

菊慈童

哀れに感じた穆王は 慈童に(仏を讃える詩)を与え 慈童は忘れないように それを菊の下葉に記しました

菊慈童

その菊の葉の露は谷の水に滴り 病気が治る霊泉となって 麓の村へ流れました

菅原神社御本殿

800年後 霊泉の調査にやって来た勅使は 少年の姿をした慈童を発見します

菊慈童

慈童は菊の露を飲んで 不老不死の仙人になっていたのです

菊慈童
菅原神社御本殿

なんとも言えない不思議な魅力のある彫刻でした。

時が止まった感じがたまらない神社です。

刺青師・龍元

072(2024.08.22)

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