令和六年 新年寺社彫刻巡礼の旅 第六社目 千葉県横芝光町の稲荷神社に参拝しました。
鳥居は参道石段の途中にありましたが 撮り忘れました。
四方から丸太で支えられた御本殿には 鉄骨で組まれた屋根が架かっています。
少し劣化が進んでしまった御本殿です。右側脇障子は欠損。
向拝部の屋根を支えるこの梁は 軽量化のためなのか 中が空洞です。梁は普通 一本の無垢の木だと思っていたのですが こんな事もあるものなんでしょうか?
過去に 家のダイニングテーブルの脚がこんな感じになっていた事を発見して 衝撃を受けた事がありますが それと同種の衝撃を今また受けています。
好みの獅子です。
右面は下り壁があるので 暗いです。
胴羽目は須佐之男命の八岐大蛇退治。
パッと見 分かりづらいですが 須佐之男命の後ろには 櫛名田比売命がいます。
劣化が酷くて 最初はピントが合ってないんじゃないかと 何枚も撮り直してしまいました。
下り壁は これ以上の劣化を防ぐために設けられたのでしょう。
じゃあ 背面は壁が無くて良いのか?と思いましたが それ程劣化が進んでいる様には見えません。地形の関係か何かで 右側だけ雨とか風とかが当たりやすいという事なのだと推察します。
胴羽目は役小角と前鬼後鬼。
役小角は飛鳥時代の呪術者で 多くの修験道の霊場で開祖として祀られています。
前鬼と後鬼を弟子にしていたと云われます。前にいるから こちらが前鬼? 〜追記(2023.02.04) 笈を背負った青鬼(青緑の事も)が 妻の後鬼
後ろにいるから こちらが後鬼? 斧を持った赤鬼が 夫の前鬼である事が多い とWikipediaには書かれています。 追記終わり〜
須佐之男命の面には 胴羽目彫刻の裏には躯体の板がありましたが 背面・左面には何も無い様で 向こう側が透けて見えます。
左面。
やや!また修験者の様な人が!
まるで 鼻の低い天狗か 武蔵坊弁慶の様な出立ちです。つまり 修験者の格好と言う事ですが。
小鬼の様な小人が三人。
すごく好みの顔↓です。どちらかというと下手ウマの部類か。
この画題をご存知の方 ご一報ください。
〜追記(2024.01.20)これは安宅の関の前段との事です。一魁斎さんにご教示頂きました。
『義経の北国落ちで、安宅の関にかかる前段の場面である。奥州に脱出するため北陸路をたどり、加賀の国・安宅の関に近づいた山伏姿の義経一行から、弁慶が出て、松葉かきの子どもたちに「この関は山伏を通すか?」たずねている。「通し申す」との答えを得て、ほうびに扇を与え、関所へと向かう。(くもん子供浮世絵ミュージアム)』
追記終わり〜
脇障子は滝に打たれる唐獅子です。
胴羽目はオモシロ下手ウマ調でしたが この獅子は割と劇画調です。彫師が違うのかも知れません。
木鼻と脇障子は 多分同じ人。
つっかえ棒。
神社の構造には詳しくないのですが 今回はちょっとだけ気にしてみました。
刺青師・龍元
006(2024.01.19)
コメント
遅ればせながら新年のご挨拶申し上げます。
併せまして養安寺の御嶽神社さんも御参拝いただき有難うございます。(自分は2日の10時半あたりに伺いました)
さて、こちらの題材不詳の胴羽目は同じ内容で出来の良いの彫り物が芝山町の高野神社さんにもありますが、添付しましたリンクの勧進帳・安宅の関の前段部分となるエピソードと思われます。
https://www.kumon-ukiyoe.jp/index.php?main_page=product_info&cPath=10_11&products_id=213
一魁斎さん こんにちは
今年もよろしくお願いします。
御嶽神社はニアミスでしたね。私は2日の11時頃に伺いました。
これは弁慶ですか。確かにリンク先の浮世絵と酷似していますね。勧進帳といえば、義経を叩く場面や弁慶が勧進帳を読み上げる場面が有名ですが、他にも色々あるんですね。勉強になります。ありがとうございます。
高野神社にも行きましたよ。近いうちにアップします。
フォロー、バックアップ、サポート 適切な言葉は分かりませんが、龍元さんのフォロワーさんは心強い方が多いですね!!分からない題目もサクサクっと答えを教えて頂け羨ましい限りです!!
錺さん こんばんは
ホントですよね。皆さん良く知ってますね。お陰様で色々勉強になります。ありがとうございます。