国指定重要文化財 [柞原八幡宮 其の三] 大分県

二十四孝 呉猛 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和七年三月中旬 大分県大分市の柞原八幡宮ゆすはらはちまんぐうに参拝しました。

柞原八幡宮 其の二 の続きです。

彫刻が沢山あるので 少し変則的ですが番号を振ってあります。番号は44までですが 7・10・11・14には上下2点の彫刻があるので 計48点の大きな彫刻がある事になります。

南大門彫刻見取り図

今回は11から20まで紹介します。

扉の左側

開けた扉の陰になっている部分。門の内側にいる時には全く気付きませんでした。下の彫刻はサトイモか何かでしょうか?

扉の左側

11. 唐獅子牡丹

上の彫刻は唐獅子牡丹ですね。

唐獅子牡丹

12. 未確認

この部分にも彫刻があるはずですが 外から覗いたので ここは全くの盲点でした。扉側から見えたはず。しかも扉上部は格子です。。。残念無念。。。痛恨の極み。。。

13. 八幡太郎 源義家

源頼義の子で河内源氏の三代目。八幡社前で加冠したので八幡太郎と呼ばれます。

八幡太郎源義家

具に観察すると 鎖帷子くさりかたびら行縢むかばき(下半身を覆う鹿の毛皮)に非常に精緻な細工を見る事が出来ます。

八幡太郎源義家

彫師頭目は安倍文寅だそうですが 頭目というからには彫師は複数人と思われます。なので板によって彫師も違うのでしょう。13.と16.の細かさは他と比べて尋常ではありません。

扉の右側

扉の右側

14. 唐獅子 二股大根

上が唐獅子牡丹 下には二股大根がありましたが割愛。

15. 未確認

こちらも門の見取り図を作成するまで気付きませんでした。13. 16. を発見した時 落ち着いてよく考えれば気づいたはず。。。無念極まり無い。。。

16. 牛若丸と弁慶 五条大橋の出会い

刀千本狩りの悲願を立てた武蔵坊弁慶。999本の刀を奪い とうとう千本まであと一本というある晩 五条の大橋を笛を吹きながら通り掛かった若き日の源義経・牛若丸に闘いを挑む という話。

牛若丸と弁慶 五条大橋

暗がりで見た時には カエル?と一瞬思ってしまいました。こちらも非常に細密な鑿使いです。

弁慶

欄干をあちらからコチラ こちらからアチラへと飛び交い 弁慶を翻弄する牛若丸。

牛若丸

ああ あんな高い所にまで落書きが。。。。

後方左側内壁

柞原八幡宮南大門内側

17. 二十四孝 呉猛

呉猛ごもうは8歳であったが 家は貧しく 蚊帳を買う金もなかった。呉猛は自分の着物を親に着せ 自分は裸になって蚊に刺された。それを毎日続けると 蚊も呉猛だけを刺し 親を刺すことはなくなった という話。

二十四孝 呉猛

この妖艶さはなんだ!

呉猛

呉猛は男なのか?女なのか? 池端慎之介みたいな感じなのか?

呉猛

そんな事は夢にも考えずに ぐっすりと眠る父親。

呉猛の父親

このお父さんの寝顔も良い味出しています。

呉猛の父親

18. 二十四孝 老萊子

世を避けて隠棲し 楚王の招きにも応じなかった老萊子ろうらいし

二十四孝 老萊子

両親に孝を尽くし 七〇歳を過ぎても嬰児の仕草で親に歳を忘れさせた という話。

老萊子と両親

そんな事で歳を忘れられるのか疑問ですが 騙されたフリをするのも優しさです。

老萊子の両親

幸せなら それで良いのです。

老萊子の両親

後方右側内壁

柞原八幡宮南大門内側

19. 二十四孝 蔡順

蔡順さいじゅんが桑の実を採って 熟した物を母に 熟していない物を自分に 分けていたら 盗賊に襲われた。

二十四孝 蔡順

「この野郎 こんな所で何やってんでぃ‼︎」と 何故か見得を切る様な所作の盗賊A。

盗賊

「あの。。。熟れた桑の実を母に 熟れてない物を自分にと分けているのです。。。」

蔡順

「この野郎!そんな事言って俺たちを感動させやがって‼︎ 」と 今にも刀を抜きそうな盗賊B。

盗賊

感動した盗賊は 米と牛の足を与えて去って行きました という話。

20. 二十四孝 陸績

お呼ばれ先で オヤツに出された蜜柑を黙って持ち帰ろうとして 懐から蜜柑が落ちたのを見咎められる 陸績りくせき

二十四孝 陸積

お呼ばれ先の主人の 袁術えんじゅつ。「陸くん これはどう言う訳だね」

袁術

詰問された陸績 床を見つめて「ええと。。。コレは 足立くんの仕業です。。。」

陸積

ではなく 「母に食べさせたかった」と言い訳して この窮地を逃れます。

陸積

が 肝心の蜜柑は欠損してしまった模様。誰かの故意でなければ良いのですが。。。


ここの彫り物には 板に画題が彫り込まれていました。今回は寺社彫刻ではお馴染みの画題ばかりでしたが 中には珍しい物もありました。

其の四に続きます。

刺青師・龍元

022-03(2025.03.30)

コメント

  1. 小心 より:

    今月中旬に柞原八幡宮を参拝されたんですね。超絶吃驚。私は今週参拝してきました(笑)
    そして私も一部の彫刻を撮影しないで帰って来てしまいました。
    帰宅後自分の画像を確認して、二十四孝に2-3人足らないなあと悩んでましたが、高いところに
    格子のある扉の内側にいたんでしょうね。ショック~。

    • やはりここだったんですね。「九州の〜」とおっしゃってたので、もしやとは思ってました。

      あれ?二十四孝は24点ありますよね。他に日本の武将・神話が12点、中国図柄が2点ありました。未確認の場所は陶淵明と竹林の七賢に対応する場所なので、林和靖とか李白観瀑とかの中国図柄があるのではないかと推測しています。

  2. onijiiです より:

    onijiiです。
    大胆ですねえ!
    鼻の穴、大ハンマーで頭をガツーン!!
    牛若丸と弁慶の下から見上げる構図に
    痺れました!!!

    残り楽しみにしてます。

    • 弁慶の表現には私も痺れました。デッサン的にはオカシイですが、臨場感たっぷりです。こんな構図もあり得るんですね。

      まだまだ続きますよ!

  3. 小心 より:

    アイヤ~。それでは私の単純な見落とし。ショック×2。
    でも龍元さんの画像で見られるのが楽しみです。

    私は夫を車に待たせていたので焦って100枚くらいしか撮影できませんでした。
    帰宅してから「もう一回連れてって」と頼みましたが即時却下されました(笑)

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