八斗島神社其の二からの続きです。
縁下には二十四孝がありました。
御本殿右面縁下
持ち送りは波に亀。
左の腰羽目は二十四孝の楊香。山で虎に出くわして、楊香が「私を食べて父を助けて」と天に祈ったら虎はどこかへ行ってしまった、という話。
ムムム、楊香はリラックスして片手で虎の背を撫でています。虎を完全に手懐けてしまってますね。「お父さん、怖がる事はないわ」
↓こちらは埼玉県寄居町の稲乃比売神社の胴羽目。明らかに同じ絵を参照してますが、こちらの方はもう少し緊迫しています。「お父さん!今のウチに逃げて!」
楊香の右手の位置と重心の位置の違いで随分と印象が変わります。
右側腰羽目には二十四孝から孟宗。真冬に筍が食べたいという母の為に、泣きながら掘っていたら雪の下から筍が生えて来た、という話。
奥の家にいるのが母親でしょうか。手には鍬を持っていたのだと思います。
御本殿背面縁下
左側は我らが大舜。実父と継母に虐待されながらも孝行を尽くしたので、後に帝位を譲られます。
この話を許由が聞いたら軽蔑するのではなかろうか。「君も、耳を洗いたまえ!」
組物の陰で見えない所も手を抜かず綺麗に仕上げてあります。舜の口元に何かがついていて、くわえ煙草をしているみたいでちょっと不良っぽい。
右側は郭巨。極貧にあえぐ郭巨夫婦は母が食を減らすのを見て、口減らしに赤ん坊を埋めようと決心。山で穴を掘ると金のお釜が出てきます。
「はて?面妖な。。。」と首をかしげる郭巨。
お釜の上には何が飛んでいるのだろうと良く見ると、鍬の先でした。
御本殿左面縁下
左は董永。親孝行な董永は死んだ父親の葬式代のために、奴隷になる約束をして借金をした。そこへ織姫がやって来て、10日の間に百疋の絹を織り上げて借金を返済してしまうという話。
彫刻は感動の別れのシーンですね。
織姫は組物の陰に。
右側は郯子。目の悪い両親のために鹿の乳が眼病治療に必要なので、鹿の皮を被って鹿の群れに混ざって乳搾りをしていたら猟師に撃たれそうになった。慌てて事情を説明したら猟師は感動して鹿の乳をくれた、という話。
鹿は奥にいるので、この後の事は思いもよらずに乳絞りに向かっている最中なのでしょう。
こちらも埼玉県寄居町の稲乃比売神社の胴羽目↓に同じ絵を参照したと思われる彫り物がありました。
ここは彫刻鑑賞には最高の御本殿です。写真で見るより大きいので、胴羽目は見上げる感じになります。出来れば脚立を持っていくと良いでしょう。ヘンタイ認定されます。
素晴らしい神社でした。また再訪したいと思います。
刺青師・龍元
046-03(2021.03.19)
コメント
onijiiです。
なるほど!
同じ構図でも随分と印象が変わるものですね!!
この場面は、父親が虎に対峙し娘をかばうのが
普通だと素朴な疑問が湧くのですが・・・。
それじゃ孝行話になりませんね。(笑)
私は最初は楊香は男だと思ってたんです。それが女の子だと知った時には衝撃を受けました。ヘナチョコ親父‼︎
でも、それが二十四孝の良い所、面白い所の一つだという事を、今は理解しています。