壮麗な彫り物が所狭しと施された御本殿 [東山神社] 埼玉県

蜃と龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和四年一月下旬、埼玉県越生町の東山神社に参拝しました。

東山神社鳥居

創建年不詳。元々は諏訪神社で御祭神は建御名方大神たけみなかたのおおかみ八坂刀賣命やさかとめのみことの二柱。

東山神社拝殿

裏へ廻ります。

東山神社

立派な御本殿がありました。

東山神社御本殿

向拝の龍。

向拝の龍

案内板には「貞享五年(1688)に社殿を再修、明治四十五年(1912)社号改称及び移築修営遷座」」となっています。300年以上前の彫り物には見えないので、明治の移築修営遷座の時の物なのかなと思いますが、正確なところは分かりません。

東山神社御本殿

胴羽目は亀仙人の黄安。

黄安仙人

三千年に一回頭を出す亀の頭を5回見たと言われます。なんと!一万二千年以上も生きている計算になります。12,000年前と言えば、日本は縄文時代です。

亀仙人 黄安

腰羽目は、遠くから見た時は波だけに見えましたが、良く見ると栄螺さざえと魚がいます。魚は何でしょう。ヒゲがないので鯉ではなく、栄螺がいるので海の魚なのでしょう。鯛かな?

栄螺と魚

脇障子は猩々しょうじょうです。

猩々

背面に廻ります。

東山神社御本殿

胴羽目は黄石公と張良。

黄石公と張良

黄石公「小僧!沓を落とした。拾って来い!」

黄石公

張良はぶっ飛ばしてやろうと思いましたが、老人の只者でない雰囲気を感じ取って、素直に沓を拾いました。

張良

「お前は見どころがある、太公望の兵法書をやろう」

黄石公

「ありがとうございます」

張良

本当の話では兵法書を授かるまでに色々な試練で試されます。張良は後に劉邦りゅうほうの軍師になって劉邦の覇業を助け、蕭何しょうか韓信かんしんと共に漢の三傑と称される様になります。

黄石公と張良 蛤と魚

腰羽目にははまぐりと魚と巻貝がありました。

蛤と魚と巻貝

左面に廻ります。

東山神社御本殿

胴羽目は鯉仙人の琴高。

琴高仙人

琴高は琴の名手。

琴高

弟子たちに「龍の子を取ってくる」と言い残して涿水たくすいの水中に潜って行き、鯉に乗って戻って来たそうです。という事はこの鯉はいずれ龍に成るのかな。(「涿水」の意味はわかりません。涿州というのは中国にかつて存在した州ですが、関係があるのかないのか)

鯉仙人 琴高

腰羽目にはたこ。栄螺や蛤も珍ですが、蛸も相当珍です。

蛸

脇障子はこちらも猩々。

猩々

どれも見事な彫り物です。

東山神社御本殿

すぐ隣に建っている境内社にも素晴らしい彫り物があったので、次に紹介します。

刺青師・龍元

035-01(2022.03.03)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    こちらは未訪問だったので、慈光寺の
    風神雷神を見に行った時、寄りました。
    皆さん渋くていい顔してますね。
    蛸は珍しいですね。大喜びでしました。(笑)

    • ここは大きさも手頃だし、鑑賞しやすい覆屋ですね。写真を撮ってたら近所のおばさんらしき人に声を掛けられ、お正月は盛大にやって中に入れるんだと言ってました。でも外からでも十分に鑑賞できますね。

      他に蛸がある神社は野田市の愛宕神社くらいしか思い出せません。あそこは珍な彫り物のオンパレードでした。

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