兎の餅つき [稲荷神社] 栃木県

裴航 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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過去記事ですが 画題が判明したので再掲します。ついでに写真も綺麗に補正してトリミングしました。


令和元年五月 栃木県佐野市の稲荷神社に参拝しました。

稲荷神社鳥居

由緒

主祭神 宇迦之御魂神うかのみたまのかみ

創建その他は分かりませんでした。南東向きの神社です。

稲荷神社

窓にはガラスが嵌められていて彫刻の保存状態はとても良さそうです。所々ガラスには汚れを拭き取るために擦った跡がありますが、内側も結構汚れています。

稲荷神社御本殿

右面胴羽目は黄初平こうしょへい

羊飼いをしていた黄初平は、ある日一人の道士に連れて行かれ行方不明になり、四十年後に兄に発見された。「羊はどうしたのだ」と兄が尋ねると「見えないのですか、ここにいますよ」と黄初平は答え、声をかけた。すると山中の数万の白い石が羊になった、というお話。

黄初平

40年ぶりに再会した生き別れの弟に会って、羊はどうしたのだ、と尋ねる兄って。。。

しかもこの兄はこの後、妻子を捨てて初平と共に仙道を極め、兄は魯班、初平は赤松子と称した、なんてやっぱり兄弟揃って只者ではありません。

背面胴羽目は許由巣父きょゆうそうほ

許由は尭帝ぎょうていに天下を譲ると言われたが「話を聞いた耳が穢れた」と言って山で耳を洗った。巣父は牛に水を飲ませようと川へ行ったが、許由の話を聞き「穢れた耳を洗った水を飲ませる訳にはいかない」と牛を連れて帰った、という話。

許由巣父

なんともいやはや。。。

許由は天下の話を蹴った訳ですから、まあ変わり者ではあるけれど、崇高なる信念があったのでしょう。でも、巣父の方は便乗して偏屈比べをしているだけに見えますね。

御本殿左面。

稲荷神社御本殿

左面の胴羽目。ウサギが餅を突いているみたいですが、なんでしょう。いかにもありそうな構図ですが、物語が分かりません。

藍橋搗薬

〜追記(2024.03.08) これは藍橋搗薬らんきょうとうやく(藍橋で薬を搗く)という話の様です。

裴航という秀才が藍橋を渡る時、絶世の美女の雲英に一目惚れをした。裴航が雲英の母親を通して求婚すると「薬を玉の杵で百日間ついてくれ」と条件を出された。そこで裴航は休む事なく薬をついた。その姿に月のウサギが感動して天上から降りて来て裴航を手伝った。
そしてついに、この縁談が認められた。雲英は仙女だった。

裴航

という話ですが なんかズルいですね。全部自分でやらないと。。。 追記終わり〜

刺青師・龍元

(2019.06.06)

コメント

  1. より:

    画題判明おめでとうございます!!
    発見時は一人でニヤニヤしていた事とお察しします(笑)

    • ありがとうございます。錺さん。
      いくら探しても見つからなかった物が他の探し物をしている時にヒョイと見つかる事があります。
      仙人は本当に難しいですね。5年越しに画題が判明して嬉しいです。

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