刺青の言葉に
・透かし彫り
・隠し彫り
・二重彫り
・白粉彫り
というのがあります。どれも似た様な言葉ですがどの様に違うのでしょうか。
透し彫り
額に変化を付けたい時や、奥行きを出したい時、凝った感じにしたい時に、透し彫りという技術があります。
これはあたかも水や風の向こうにモチーフが透けて見える様に描く物で、刺青に立体感を出す事が出来ます。もちろん薄墨やあけぼのの技術がしっかりしていなければ出来ませんが、刺青の技術というよりは、むしろ絵画的な技術になります。
風の渦に桜の花が舞い散っている様子を表す透し彫り。刺青の奥行きを表現できる。
風や雲の間に舞う鳳凰。
隠し彫り
隠し彫りというのは透し彫りと言葉は似ていますが刺青の技術の事ではなく、脇の下や股など普段あまり近親者以外の他人に見せない部分に入れた刺青の事を言います。縁起物や判じ物、春画などを、背中や腕、足などでは中々出来ないような遊び心で入れたりします。まさにその人のセンスが問われる所でもあります。
脇の下の隠し彫り。大黒様の使いのねずみと金銀財宝。
二重彫り
二重彫りとは、これも刺青の技術の事ではなく、背中などに入れた人物がさらに刺青を入れているという、劇中劇の様な表現です。
白粉彫り
白粉彫りというのは、白粉を肌に彫り込んで、お風呂に入ったり、怒ったり、興奮したりして体温が上昇した時だけ普段は見えない刺青が浮き上がって来るというものです。もちろん、漫画や小説の中のもので実際にはありません。(過去に実在したと主張する人はいます)
しかし、これに近いもので、ブラックライトに反応して光る蛍光インクがひと昔前(今もかな?)流行しましたが、このうちの蛍光イエローが肌に入れてもブラックライトを当てない限りほとんど見えない為、白粉彫りの様な感じでした。ただ、インクの持ちが悪いらしく、私も20年ほど前に入れていましたが、数年で消えてしまいました。
刺青師・龍元