大貫染吉と後藤桂仙 [大甕神社] 茨城県

拝殿向拝の龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和七年一月中旬 茨城県日立市の大甕おおみか神社に参拝しました。

大甕神社鳥居

皇紀元年(B.C.660)創祀
昭和八年(1933)本殿拝殿改築
御祭神 武葉槌命たけはつちのみこと
拝殿彫師 大貫染吉 後藤桂仙
本殿彫師 後藤桂仙

大甕神社拝殿

唐破風の付いた立派な屋根には 千鳥破風も付いていて 懸魚は鳳凰です。

千鳥破風の鳳凰

唐破風の懸魚は応龍です。

唐破風の応龍

神社のサイトによると後藤桂仙彫の「笑龍」は 拝殿前鳥居から近づいていくと口が開いていく様に見えるのだそうです。

唐破風懸魚の応龍の事なのか 向拝中備の龍の事なのかは分かりません。

向拝中備の龍

中備の龍の裏には
「彫刻師 大貫染吉
 仝 〃 後藤桂仙」
と銘がありました。

大貫染吉の「吉」の字は土に口です。PCでは変換出来るのですが ブログにあげるとエラーが出ます。それから〃の向きが逆なのは何故?もしかしたら違う文字?

側面にも唐破風を付けた贅沢な造りです。

大甕神社

側面の唐破風には鳳凰がありました。

右面唐破風の鳳凰

脇障子に彫り物があります。

右側脇障子

甕星香々背男みかほしかがせおを誅する建葉槌命たけはづちのみこと

當社祭神建葉槌命悪神甕星香々背男ヲ金田山魔王◯上ニ誅スルノ図
桂仙謹書

建葉槌命とは日本書紀に出て来る 織物と機織りを司る神。

建葉槌命

武刃槌と書いて武神とする説も有る様です。

建葉槌命

「當社祭神建葉槌命悪神甕星香々背男ヲ金田山魔王◯上ニ誅スルノ図 桂仙謹書」と彫られています。

悪神甕星香々背男

悪神と言われてしまってますが 甕星香々背男は元々この地方を治めていた神で 同じ境内に祀られています。

悪神甕星香々背男

拝殿左側です。

拝殿左面

脇障子は養老の滝伝説。

養老の滝伝説

「孝行息子の源丞内が足を滑らせ谷に落ちた。そこには酒香のする滝があったので 水筒に汲んで持ち帰り老父に飲ませた。

源丞内

すると老父はすっかり若返った」という話。

源丞内

御本殿は宿魂石と呼ばれる岩山の頂に鎮座します。

大甕神社御本殿

御本殿には残念ながら 胴羽目彫刻はありません。

大甕神社御本殿

脇障子には猛禽がありました。

猛禽

裏側も丁寧に彫られています。

脇障子裏側

「彫刻師 後藤桂仙」と銘が刻んであります。

彫刻師 後藤桂仙

左側脇障子の裏側。

左側脇障子裏側

表側。

猛禽

向拝です。

大甕神社御本殿向拝

中備の龍も素晴らしい造形です。

向拝の龍
大甕神社御本殿

他に境内社が数棟ありますが その内の二棟に胴羽目彫刻があったので 次回紹介します。

刺青師・龍元

002-01(2025.01.20)

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