刺青の図柄の意味

刺青の図柄の意味

図柄の意味

「牡丹の意味を教えてください。」
など、よく刺青の図柄の意味を尋ねられて困ります。牡丹は「花の王様」とか、美人の例えで『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花…」などという言葉はありますが、図柄そのものに何かの意味がある訳ではありません。

「親孝行」という意味の刺青を入れたいと言われたり、「鬼若丸」の意味を教えてと言われて困った事もあります。

刺青の図柄にあるのは意味というよりは、物語やジンクス・ゲン担ぎ・語呂合わせと言った方がしっくり来るかもしれません。

物語

物語とは、その図柄の出典元の伝説や言い伝えの事です。例えば、「桃太郎の鬼退治」や、「渡辺綱の羅生門」や「平維茂の紅葉狩り」等です。ただ単に侍が暴れている訳ではありませんし、物語に合わせた花や背景、脇役等々があります。意味があって、つまり、理由があってそこに描かれるのです。

ジンクス

ジンクスとは、ある図柄を入れると早死にするとか、恋人の名前を入れると別れるだとか。定説と言われるものから、邪説と言われるものまで色々あります。

ゲン担ぎ

足に提灯を入れて「足元を明るく」とか、カニを入れて「お客を挟み込んで離さない」だとか、ゲン担ぎの刺青も人気です。これは刺青が元々、鳶や左官屋などの建築職人、博徒に的屋、花柳界の人達など、ゲンを担ぐのが好きな職業の人達を中心に広まったという事があると思います。他にも、金魚を入れて「煮ても焼いても食えない」とか、カニを入れて「人生、横に歩く」などは自嘲的で少し斜に構えた感じが何とも言えません。

語呂合わせ

面を五つ入れて「天下五面(天下御免)」とか、斧(よき)・琴・菊を入れて「良き事を聞く」なんて語呂合わせもあります。

あやかる

飽きっぽい性格だから執念深いとされる蛇を入れたり、喧嘩ばかりしてるから観音様を入れて中和するなんて考え方もあります。

ジンクスやゲン担ぎは地方や職業によっても違ってきますし、定説と言われるもの以外は、お客さんの要望があればそちらを尊重する事にしています。また物語には色々なバージョンがありますので、どのバージョンに立脚するかで小道具や脇役などが変わってくる事があります。刺青にだけ使われる語呂合わせもあれば、世間一般に言われるものもあり、お客さんも色々探してきてくれたりします。

刺青芸術工房 龍元洞
刺青師・ 龍元