鳥籠に囚われた岸亦八 [大蓮院正覚寺山門] 群馬県

仙人 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年九月上旬 群馬県沼田市の大蓮院正覚寺に参詣しました。

お目当ては山門です。

万延元年(1860)建立
平成十三年(2001)沼田市指定重要文化財指定
彫師 岸亦八

正覚寺山門

まず道路側から。

正覚寺山門道路側

唐破風下は李白観瀑です。

李白観瀑

唐代の大詩人 李太白が 廬山の瀑布に臨み詩を吟ずる様子です。

瀧

硯で墨を磨る童子。

童子

「廬山の瀑布を望む」
日は香炉を照らして
紫煙を生ず
遥かに看る瀑布の
前川に挂かるを
飛流直下
三千尺
疑うらくは是銀河の
九天より落つるかと

李白

ひゃ〜 鳥籠‼︎ 彫刻が良く見えません。

正覚寺山門道路側

なんとか手動で ピント合わせ。

龍

最初は牛に見えていましたが 良く見ると麒麟。なので上元夫人だと思います。

上元夫人

愛好家泣かせの鳥籠です。

上元夫人

裏側も丁寧に彫られていて 麒麟の腹が見えます。

麒麟

冠木の上にも彫刻がありました。

陳楠仙人

鉄椀から龍を呼び出す 陳楠仙人。

陳楠仙人

干魃で民が苦しんでいる時 龍を呼び出して雨を降らせたと伝わります。

陳楠仙人

見事な龍です。

龍

「彫工 新田山神住 豊琳斎」と彫られていました。

彫工 新田山神住 豊琳斎

裏側にも彫り物があります。

蕭史

鳳凰が飛んでいて。。。

鳳凰

笙を吹く童子がいるので これは蕭史しょうし仙人。

蕭史仙人

本堂側の梁の上の彫り物の裏側には 岩とか波とか雲とか。特に何かが彫られている訳ではない様です。

波

表側です。

正覚寺山門本堂側

ガーン! こちらは陽が当たっていたので さらに見づらいです。

黄安仙人

仙人風の人。 肉眼では ぼんやりとしか見えません。

黄安仙人

亀に乗った童子がいるので これは 三千年に一度頭を出す亀の頭を五回も見たという 黄安こうあん仙人でしょう。

童子と亀

門の妻側にも彫り物がありました。右面。

正覚寺山門右面

左面です。両面とも上段は鳥 下段は唐獅子でした。

正覚寺山門左面

どれも素晴らしい彫り物でしたが やはり鳥籠が。。。

あちきは廓の中の鳥でありんす。。。

刺青師・龍元

080(2024.10.01)

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