二代・立川和四郎富昌の弟子の翠川文四郎 [諏訪神社と八幡宮] 長野県

諏訪神社御本殿向拝 長野県
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和三年七月、長野県長和町の諏訪神社に参拝しました。

諏訪神社

諏訪神社鳥居

鳥居には龍が絡み付いた立派な社号額があります。案内板によると立川流の武内八十吉宣吉、明治八年(1875)の作。

諏訪神社鳥居社号学

武内(竹内)八十吉は県内の伊波保神社荒神宮参上神社なども手掛けています。

龍

創建年不詳
御祭神 建御名方命たけみなかたのみこと

諏訪神社拝殿

裏へ廻ります。

諏訪神社御本殿

案内板によると、御本殿は立川流・翠川文四郎に寛政九年(1797)に建てられたとなっています。二代・立川和四郎冨昌の弟子の様です。

諏訪神社御本殿

脇障子は竹に鶴。壊れ掛かっているのか、右に寄っています。

竹林の鶴

長野県によくある、縁下あっさりタイプ。

諏訪神社御本殿

胴羽目は沙耶形文様さやがたもんよう。英語では卍パターンと言います。

沙耶形

背面は彫り物無し。

諏訪神社御本殿

沙耶形は刺青でも着物の柄に良く使います。欧米人、特にヨーロッパ人の中にはナチのマークだと言って嫌う人がいますが、そういう人は日本に来て地図を見たら腰を抜かすでしょう。スワティカの意匠自体はナチより数千年も古いし、世界中で似たデザインが古くから使用されて来ています。

沙耶形

左側の脇障子も竹に鶴。壊れ掛かっています。

竹に鶴

正面扉脇には鯉の滝登り。

諏訪神社御本殿

八幡宮

八幡宮鳥居

境内には幾つか社がありましたが、その中に正八幡宮という社号額の掛かった鳥居と御本殿がありました。

八幡宮御本殿

少し変わっていて、柱の上で大虹梁を支える組物の他、その中間にも組物があります。〜追記(2021.08.11)過去の写真を眺めていたら、割と普通にありました。見てる様でちゃんと観察出来ていません。追記終わり〜

八幡宮御本殿

大虹梁の上には鳳凰の彫り物。

鳳凰

蝦虹梁は波、手挟みには牡丹です。

海老虹梁の波

胴羽目。短冊にしては捻れているので、これは掛け軸でしょうか。

掛け軸

こちらも諏訪神社ほどではありませんが、縁下は割とあっさり目。上部の組み物があるので頭デッカチに見えます。

八幡宮御本殿

背面は彫り物無しです。

八幡宮御本殿

左面に廻ります。

八幡宮御本殿

こちらも大虹梁上には鳳凰。

鳳凰

胴羽目は掛け軸です。

掛け軸文様

脇障子は左右とも欠損。

八幡宮御本殿

小さいですが、諏訪神社より立派に見えました。多分、棟梁も彫師も諏訪神社とは違う人だと思いますが、証拠はありません。

刺青師・龍元

095(2021.08.10)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    シンプルな作風ですね!
    40年以上も前に白樺湖の近くに出張し、
    3ヶ月ほど滞在しました。
    当時この神社の前を通ったんだなあと、
    懐かしくなりました。(笑)

    • 馴染みのある土地に彫り物があったと思うと嬉しくなりますよね。
      自分が産まれるより遥か前からそこにあったと思うと感慨深いものが有ります。

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