怖〜いこわ〜い力神さま [千賀戸神社] 群馬県

司馬温公甕割 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年九月上旬 群馬県昭和村の千賀戸神社に参拝しました。

千賀戸神社鳥居

創立年不詳
明和四年(1767)現本殿造営
彫師 初代・星野政八 福田助次郎
御祭神 日本武尊

千賀戸神社

覆屋はこんな感じです。スノコ状の壁でガラス板やアクリル板も金網も無く 鑑賞に不具合はありませんが 内部は少し暗め。

千賀戸神社御本殿覆屋

立派な御本殿が鎮座していました。

千賀戸神社御本殿

御本殿右面

千賀戸神社御本殿

上を見上げると 何かがいます。

力神

餓鬼型力神。怖いです。

力神

胴羽目は梅妻鶴子の林和靖りんなせい

梅妻鶴子

「廬を西湖の孤山に結んで詩作に興じ一歩も湖外に出でず 客あれば童子をして鶴を放たしむるといふ。梅を愛し鶴を養ひ 悠々たる生涯は誠に道釈人物中の好画題である。」(金井紫雲著 東洋画題綜覧より抜粋)

林和靖

林逋りんぽとも言います。

林逋

御本殿背面

千賀戸神社御本殿

胴羽目は李白観瀑だと思います。

李白観瀑

李白に童子が しがみ付いている構図をよく見ます。

童子

何してんだろうなぁ 中国の偉人はみな 幼い子が好きだったのかなぁ と思っていましたが とある方のブログによると 童子に支えられて立っているとの事。今まで この視点はありませんでした。

なるほどですね。偉人だからって どこかの芸能プロダクションの創始者みたいだとは限りませんね。

童子

昭和村の広報誌「広報しょうわ Aug. 2023」には「ひさご仙人」「養老の滝の図」と紹介されていました。

李太白

御本殿左面

千賀戸神社御本殿

こちらにも怖〜い力神さま。骨の浮いたアバラに 膨れたお腹。完全に 栄養失調の末に どうにかなってしまった姿。。。

力神

胴羽目は司馬温公瓶割しばおんこうかめわりです。

司馬温公甕割

司馬光が子供の時 水の入った大瓶で遊んでいた友達が中に落ちました。

司馬光の友達

司馬光はその友達を助ける為に 高価な大瓶を躊躇なく石で割りました。

司馬光

父親は叱るどころか 司馬光を褒め称えました。偉いでしょ。という話。

司馬光の友達

さて 偉いのは誰でしょう?

千賀戸神社御本殿

素晴らしい彫り物でした。

刺青師・龍元

081(2024.10.05)

コメント

  1. より:

    林和靖 生涯独身かと思っていましたが、
    日本の饅頭の元祖 塩瀬総本家 のご先祖様との事です。

    • 林和靖に子孫がいた事は錺さんのブログで読みました。

      金田一耕助や怪盗ルパンも生涯独身でしたが 金田一少年やルパン三世がいるって事は隠し子がいた訳ですよね。皆やる事はやってんですね。

  2. onijiiです より:

    onijiiです。
    これまで数多くの力神に遭遇しましたが、
    不気味さではナンバーワンですね。
    近くの八幡宮の髭面の力神も、ユニーク
    さではトップクラスです。(笑)

    • onijiiさん こんにちは
      私は力神を力士型・邪鬼型・唐子型・天狗型に分類して来ましたが、この度、餓鬼型を新設しました。
      近くの八幡宮は未訪問です。楽しみにしています。

  3. ラッパ唐子
    色々ご教授有難うございました。
    これほど有るとは思いもせんでした
    実は神梅神社は10年ほど前に行ったのですが
    写真も写したのですがこれほどの物が有るとは思いもせんでした
    写真の中では高野神社は上州との縁は分かりませんが他は何らかの繋がりがあるようですね。

    この千賀戸神社の星野政八は機神神社に、星野政方との墨書きが残っています。
    福田助次郎は狭山八幡の並木源次郎の父親になります。
    二人とも伊那の熱田神社神社では関口文治郎の門下生と紹介されていますが
    この時文治郎31歳である事から三人とも石原吟八郎の同期門下生として協力しあったものと思われます。
    千賀戸神社は私も行ったのですが蚊に襲われて困りました
    苦労した割には柵に阻まれてろくな写真が撮れませんでした
    さすがにうまく撮れますね、いつもなのですが羨ましい限りです。

    • 唐子も持ち物に注目すると面白いですね。

      私の興味は主に画題で、造営年や彫師については、その都度ザッと調べるだけなので、誰が誰の弟子とか、どちらの造営が先とかは分かりません。やっぱり有名な人は上手いなと思うくらいです。

      数だけは回っているので、色々な方法を試しているうちに結構撮れる様になりました。時間は掛かりますが。

      蚊は嫌ですね。真夏でも長袖長ズボンに虫除けスプレーで対処していますが、それでも喰われる事があります。

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