箒と巻物 鶴と桃と一絃琴 [三光神社] 栃木県

三光神社御本殿 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和四年九月上旬 栃木県日光市の三光神社に参拝しました

三光神社鳥居

長享年間(1487-89)下総国香取神社より勧請創建
嘉永四年(1851)社殿を奉建した旨の棟札あり
御祭神 経津主命ふつぬしのみこと

三光神社拝殿

覆屋は上部が格子状になっていますが 壁が高めで前方からのみ 直に鑑賞する事が出来ます なので脚立か如意棒が必需品です

三光神社御本殿覆屋

立派な御本殿がありました

三光神社御本殿

うっかり写真を撮り忘れましたが 向拝の龍は近隣の厳島神社の龍にそっくりです

三光神社御本殿

脇障子は 天台山の国清寺にいたとされる伝説の風狂僧 寒山拾得かんざんじっとくのうちの寒山

寒山

右面です

三光神社御本殿

海老虹梁は波

海老虹梁の波

胴羽目は太真王夫人こと 玉巵ぎょくしです

玉巵

「太真王夫人は支那列仙の一なり 王母の少女玉巵なり 一絃琴を弾ずる毎に 即ち百禽飛来するという 時に白龍に乗り周く四海を遊行すという」斎藤隆三『画題辞典』

太真王夫人

お目々が可愛らしい

太真王夫人

背面です

三光神社御本殿

これと似た感じの彫り物を見た事があります

西王母

全く同じではありませんが 近隣の厳島神社の胴羽目↓に似ていると思います

西王母?
厳島神社胴羽目

厳島神社と同じ様に 侍女が持っている花は 花びらが尖っているので桃です

桃の花

なので これは不老不死の仙桃(蟠桃)を管理する西王母ではないか と思います

西王母

左面

三光神社御本殿

躍動感のある海老虹梁の波

海老虹梁の波

覆屋左面にはかなり大きな節穴がありました 

三光神社御本殿

右面背面は上から見下ろす感じでしたが 浮き彫りは見る角度で印象が随分と変わってしまうので 真横から鑑賞出来るのは嬉しいです

林和靖

梅を妻 鶴を子の様に愛した 林和靖りんなせい

梅妻鶴子

童子が持っている鶴の餌(多分)が どうしてもアップルパイに見えてしまいます

林和靖

脇障子は寒山拾得の拾得

拾得

近隣の厳島神社と画題や細かい意匠が似ているし、造営年もこちらが1851年、厳島神社1853年と近いので もしかしたら同じ人なのかな〜なんて想像します

三光神社御本殿

この辺りは覆屋で護られた御本殿が多い様ですが 覆屋の中は窓があってもやはり暗いです

だいぶ陽が傾いて来たので この日はここで切り上げました

刺青師・龍元

126(2022.11.02)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    上品な印象を受けますね。素晴らしいです。

    脚立は愛好家ならではの道具ですね。
    使い始めた頃はドキドキしてましたが、今は
    平気になりました。(笑)

    • 上品という言葉はピッタリ来ますね。次回から使わせて貰います。

      如意棒に比べると脚立はなかなか敷居が高いですよね。以前うっかり脚立を抱えて撮影許可を貰いに行ったら、思い切り怪訝そうな目で見られました。以来、撮影許可を貰う時はスマホ片手に、いかにも気軽に行く事にしています。

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