令和四年新年寺社彫刻巡礼の旅第二十一社目、茨城県日立市の艫神社に参拝しました。
治承元年(1177)現在地へ遷宮
御祭神 武甕槌命
御本殿に彫り物はありません。
ここのお目当ては境内社の船見山天満宮です。
御祭神 菅原道真公
舌を噛み切りそうな向拝の龍。
扉脇は天満宮らしく梅の木です。
右面胴羽目は二十四孝の董永。
董永は父親思いの孝行息子だったが、父が亡くなった時に葬式を出すお金が無かった。そこで董永は奴隷になる事でお金を借りた。
その様子を天から見ていた玉皇大帝は感動して、末娘の七仙女を派遣し、董永を助けることにした。七仙女は布を織ってたちまち借金を返してしまった。
一緒に暮らす内に二人の間に愛情が芽生えるが、天上人は人間と結婚してはならない。玉皇大帝の命令で七仙女は天界へと連れ戻されてしまう。感動のお別れの場面です。
背面に廻ります。
背面胴羽目は二十四孝の楊香。
楊香と父親は山で虎に出くわした。
楊香が虎の前に立ちはだかり「私だけを食べて、父を助けて」と天に祈ると、それまで猛り狂っていた虎は行ってしまった、という話。
虎にヘッドロックを掛けている事もあります。非常に危ないですが、楊香はもう命を捨てているので怖い物無しです。
左面に廻ります。
左面胴羽目は二十四孝の唐夫人。唐夫人は歯が無く食べ物を咀嚼できない義母に乳を与えます。
この刺激的な絵面ゆえでしょうか。26ある話の中からの採用率はかなり高め。至る所で人々の度肝を抜いたり、呆れ・失笑を買ったりしています。
「ママ〜、僕のおっぱいだよ〜」とせがむ幼い子供。
「バカ!今は我慢しろ!」と拳を振り上げる兄?まさか旦那じゃないだろうな?
こんなに素晴らしい彫り物をこんなに間近に見られるなんて、日本に住んでいて本当に良かったと思います。
刺青師・龍元
021(2022.02.09)
コメント
onijiiです。
唐夫人はとても多いですね。
初めて見た時は、とても驚きました。
このような親孝行とは・・・。
4人が登場するのは珍しいですね。
背丈からすると、旦那のような。(笑)
寺社巡りを始めた頃は、胴羽目がこれほど
数多くあるとは思っていませんでした。
各県至る所にあるので、比較的簡単に貴重な
文化財に触れることができますね。
先輩方のブログは、ごく一部の愛好家しか
知らなかった寺社が数多く紹介されている
ので、とても参考になります。
ありがとうございます。
やっぱり旦那ですかね。
本当ですね。こんなに沢山あるのに気が付かないもんなんですね。寺社彫刻を観光資源にしようという動きもあるにはある様ですが。
日本の、しかも関東に住んでて、車で1、2時間も走れば見事な芸術作品を鑑賞する事が出来るなんて幸せな事です。