令和七年四月下旬 神奈川県横浜市の春日神社に参拝しました。

平安時代 創建
永禄八年(1565)再建
江戸末期 本殿中宮製作
御祭神 天児屋根命 他三柱

拝殿向拝

向拝の龍です。


正面扉上には 二十四孝の大舜がありました。

舜は 父・継母に殺されそうになる程の虐待を受けますが 親孝行を続けます。

その徳によって 彼が耕す畑には 象や小鳥がやって来て 彼を助けます。

御本殿覆屋
御本殿覆屋の3面にある窓には亀甲金網と鉄格子がはまっていました。内部は少し暗いですが 撮影には問題無し。

御本殿右面
御本殿は 胴羽目 腰羽目 脇障子や組物間など 沢山の彫り物で飾られています。神奈川では 結構レア物の胴羽目彫刻を見て嬉しくなりました。

胴羽目は応神天皇誕生。

応神天皇を抱く 忠臣 武内宿禰。景行・成務・仲哀・応神・仁徳の5代(第12代から第16代)の各天皇に仕えたと伝わります。

仲哀天皇の后であり 応神天皇の母 神功皇后。

三韓征伐を果たした神功皇后は 筑紫の地で無事に皇子を出産します。

脇障子。これは何でしょう。

唐子が扉の開いた鳥籠を肩に乗せていて 花のところに鳥がいます。唐子遊びで良いのでしょうか?

腰羽目は唐獅子牡丹 組物間は火除けの霊獣 犀です。

御本殿背面

胴羽目は 西王母から蟠桃を盗む東方朔。

西王母は 食すと不老不死が得られる蟠桃を管理する 艶やかにして麗しい天の女主人。

「忌々しい…あやつに蟠桃を盗まれてしまった…」

「聖母さま 桃はまだ沢山ございます…」

東方朔は前漢・武帝に仕えた実在の文人・政治家。

人魚を食して不老不死を得た八百比丘尼を驚かせたとか 八千歳の浦島太郎に 自分は九千歳だとマウントを取ったとか とにかく長生きの伝説には事欠きません。

胴羽目の下は 猛禽捕猿。

弱肉強食を表していると言われます。

その下は唐獅子牡丹だったので割愛。
御本殿左面

脇障子は これまた唐子。鶏と籠がある様です。籠彫りになっている様ですが よく見えませんでした。

胴羽目は 干珠と満珠。

干珠と満珠を捧げ持つ 龍神さま。伝承によっては 安曇磯良とも。

龍。

龍宮の眷属たち。


一行の勢いが良く表現されていて 一流の彫師の作品だという事が分かります。

こちらも腰羽目は唐獅子牡丹だったので割愛。
素晴らしい彫刻でした。
刺青師・龍元
055(2025.08.14)
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