令和七年四月下旬 神奈川県横浜市の春日神社に参拝しました。

康和元年(1099)創建
嘉永七年(1854)現社殿建立
彫師 後藤利兵衛義光
御祭神 天児屋命

向拝です。

向拝の龍。

中備の裏側には「彫工 後藤利兵工 義光」と銘がありました。

「龍の利兵衛」と呼ばれる程 龍に定評があった 後藤利兵衛義光。

緻密な造形の龍には唸らされます。

桁隠の応龍も素晴らしいの一言。

拝殿向拝には 手挟みの獅子など 他にも素晴らしい彫物がたくさんありましたが ここのお目当ては御本殿にあります。

御本殿正面の獅子の滝行。これも非常に緻密な造形ですが。。。

私が1番注目したのは脇障子 二十四孝の楊香。

楊香と父が山に行くと虎が躍り出て 今にも2人を食べようとした。

楊香が「私だけを食べて 父は助けて下さい」と懸命に祈ったところ 虎は去り 父子共に命が助かった という話。

楊香の喉元に迫る 虎の鋭い牙。

死を覚悟した楊香の表情は むしろ安らか。恍惚感すら感じます。

対して 無様な醜態を晒す楊香の父親。


こうはなりたくないですが 現実に虎に遭遇したら 私も恐怖で腰を抜かしてしまうかも知れません。

脇障子は裏側にも彫刻がありました。山鵲だと思います。瓢箪には願主の銘がありました。。

胴羽目彫刻が無いのは非常に残念ですが 神奈川の神社で胴羽目彫刻を見る事は稀です。

左側の脇障子裏。こちらも願主の銘がありました。

左側脇障子の表側は これも二十四孝から郭巨。

極貧に喘ぐ郭巨が 母を養う為に口減らしに我が子を埋めようとすると 黄金の(詰まった)釜が出て来た。

その孝行心に感じた天が郭巨に与えた物である という話。

ほぼ丸彫りといっても良いくらいに深彫りです。

釜は空っぽなので 釜自体が黄金なのでしょう。

御本殿正面の獅子の子落とし。

「龍の利兵衛」と称されたらしいですが 人物の表情の造形はもっと評価されても良いと思います。

まあ確かに「人物の利兵衛」ではパッとしないですが。。。
刺青師・龍元
049(2025.07.15)
コメント
楊香の彫刻良いですねー。渓斎英泉の楊香ですね。
楊香の表情が観音様のようです。秋になったら見に行こうと思います。
渓斎英泉の楊香は良いですね。良い下絵は上手い彫師に採用されますね。
あと2ヶ月くらいは外回りは厳しいですね。早く寒〜い冬が来ないかと待ち焦がれております。