令和六年 新年寺社彫刻巡礼の旅 第十社目 千葉県多古町の三社神社に参拝しました。
雨晒しの御本殿です。
向拝の龍。
正面扉には司馬温公甕割りの彫り物。司馬温公が子供の時 水の入った大甕で遊んでいて中に落ちた友達を助ける為に 高価な大甕を躊躇なく石で割った というお話。
流造りの屋根に さらに大きな屋根を重ねて 社殿が雨に濡れにくくしている様です。
おかげで 屋根が重くなって バランスが悪くなったので 四方から鎖で引っ張っています。
胴羽目は 精衛公主と西王母の対面。これは珍です。
橘守国の絵本写宝袋に元絵がありました。
精衛公主というのは 炎帝神農氏の娘で 容姿端麗にして絶世の美女。ある日 散る花を見て無常を感じ 天に向かって嘆きました。
すると西王母が輿車に乗って姿を現わし『里心を断ち切り 仙宮に来なさい』と精衛公主に告げました。
上尾市の二ツ宮氷川神社の胴羽目↓に同じ構図の彫り物があります。
脇障子は唐獅子。橋の上に乗っています。橋桁がある様に見えるので これは木の橋?
仏教説話を元にした装飾意匠の石橋なら 石の橋だろ。。。と思って調べてみたら 木の橋が描かれている物もよくある様です。
背面です。左側脇障子は欠損しています。
胴羽目は 許由巣父。
堯帝が帝位を譲る と言うと 許由は「汚らわしいことを聞いた」と言って 川の流れで自分の耳をすすいだといいます。
巣父も帝位を譲ると言われた一人でしたが まさに牛に川の水を飲ませようとしていた時に 許由が耳を洗うのを見て「牛に汚れた水を飲ませるわけにはいかぬ」と立ち去ったといいます。
水が飲みたかったんだよ と悔しがる牛。
結局 両親に殺されそうになりながらも孝行を尽くす舜が 帝位を受けますが。。。それはまた別の話。。。
左面です。
胴羽目は巨霊人。
六力神通の人で 山を劈いて黄河をまっすぐに通したそうです。
撮影している間に 氏子さんが二人やって来て お供えのワンカップを処分して行きました。私が飲んでしまった訳ではありません。念の為。。。
刺青師・龍元
010(2024.01.30)
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