節穴から覗いた星野甚内の菊慈童 [木乃宮神社] 群馬県

木乃宮神社 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和七年三月上旬 群馬県みどり市の木乃宮神社に参拝しました。

木乃宮神社鳥居

文化四年(1807)建造
彫師 星野甚内
御祭神 久々能智神くくのちのかみ

木乃宮神社

覆屋左面。上から下まで壁一面板張りです。

木乃宮神社

何とか中が見えないかと探したところ 小さな節穴を見つけました。

木乃宮神社御本殿

中の様子が見えます。

木乃宮神社御本殿

胴羽目は菊慈童きくじどう

菊慈童

過失を咎められて深山幽谷に流刑になった慈童は 穆王ぼくおうに与えられた(仏を讃える詩)を菊の下葉に記し その菊の葉の露を飲んで 不老不死の仙人になりました。

菊慈童

腰羽目は 唐子遊びの相撲。

唐子遊び 相撲
唐子遊び 相撲

左側脇障子は欠損です。

木乃宮神社御本殿
木乃宮神社御本殿

扉脇板の龍です。

正面扉脇の龍

向拝。

木乃宮神社御本殿向拝

中備の龍です。

木乃宮神社御本殿向拝の龍

唐破風下には養老の滝がありました。

養老の滝 源丞内

孝行息子の源丞内が足を滑らせ谷に落ちました。

養老の滝 源丞内

そこには酒香のする滝があり その水を水筒に汲んで持ち帰って老父に飲ませると老父はすっかり若返りました。

木乃宮神社御本殿向拝
木乃宮神社御本殿向拝の龍
木乃宮神社御本殿

扉脇の龍。トゲと毛があるタイプ。巻き毛ではなく直毛です。

正面扉脇の龍

こちら側には脇障子が残っています。

木乃宮神社御本殿

分かりづらいですが 右手に箒を持っている様に見えるので これは唐代風狂の僧 拾得じっとくではないかと思います。多分 左側脇障子には巻物を持った寒山かんざんがいたのでしょう。

拾得

右面腰羽目は唐子遊びの凧上げ。

唐子遊び 凧上げ

覆屋右面は壁一面ではありませんが かなり上まで波板が張られています。

なので上から。

木乃宮神社御本殿

二重虹梁間には龍の彫り物。

木乃宮神社御本殿

胴羽目は亀仙人 盧敖ろこうです。黄安こうあんともいいますが 元々は別の仙人です。

盧敖仙人

覆屋背面も頭上遥か上まで板張り。上部から中を覗くと屋根しか見えません。

木乃宮神社御本殿

なんとか節穴から。胴羽目彫刻があるらしいという事は分かりますが これが限界でした。

木乃宮神社御本殿

素晴らしい御本殿でした。

刺青師・龍元

036(2025.05.15)

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