令和二年四月吉日、群馬県大泉町の小泉神社に参拝しました。
由緒
元慶七年(883)創建
安政元年(1854)本殿造営
明治十年(1877)拝殿・幣殿再建
明治四十五年(1912)町中の神社を合併、総社小泉神社と改称
御祭神
藤原長良公
菅原道眞公 他二十二柱
大泉町指定重要文化財
南向き
御本殿
向拝柱・海老虹梁・胴羽目・腰羽目・脇障子など、御本殿は彫り物で覆い尽くされています。
左面
胴羽目は「鞍馬山の牛若丸」。
背面
胴羽目は源頼朝の「鶴岡放生会」。頼朝が由比ヶ浜で千羽の鶴を放したという故事に基づく物語です。
いかにも佞官といった感じですね。もしかしたら、役人ではなく御用商人なのかもしれませんが、どっちにしても権力者に媚びへつらう様な表情が良く表れている、と思ってしまう私は捻くれてますか?
右面
一番印象的だったのは東面胴羽目の「常盤御前雪中逃避行の図」です。義経の父・源義朝が討たれ、三人の子供達を連れた常盤御前が雪の中を逃亡する場面です。雪の中を裸足で、まさに「取るものも取りあえず」という切羽詰まった感じが出ています。
赤子の牛若丸(後の義経)を懐に抱え、来た道を振り返る常盤御前。追手が迫っていないか気にしているのか、それとも残して来た従者の身を案じているのか。
何も判らず無邪気にはしゃぐ乙若。
大人の事情が判り、己の身の将来を案じているのか、憂鬱な表情の今若。
最上級の芸術品が正当な評価をされずに雨ざらしのままです。繊細な表現が段々朽ちて行ってしまいますね。もちろん、箱に仕舞って鑑賞できなくなってしまうのは困るのですが。どうにか出来ないものなんですかね。
まあ、「形ある物は全ていつかは廃れるのだ、そこに価値があるのだ」と言われればその通りで、刺青なんてその最たるものかも知れません。
刺青師・龍元
093(2020.05.04)
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