令和四年十二月下旬 東京都練馬区の長命寺に参詣しました
南大門という立派な門がありました
仁王さまではなく 四天王が守っています
増長天
南方を守護します
広目天
西方を守護します
南大門裏側
多聞天(毘沙門天)
北方を守護します
持國天
東方を守護します
慶長十八年(1613)創建
明治37年(1904)本堂再建
御本堂にも龍の欄間がありましたが
今日のお目当ては東高野山奥之院(大師堂)
練馬区のサイトによると 紀州高野山(和歌山県)の奥之院を模して慶安五年(1652)に完成したそうですが そんなに古い建物には見えないので現堂宇は19世紀辺りに再建されたのかも
扉には二十四孝の彫り物がありました
1番左にはお馴染みの我らが楊香
楊香父娘は山で突然 虎に出くわします
「私を食べて良いから お父さんを助けて!」
楊香が咄嗟に身を挺して父を逃そうとすると 思いが天に通じたのか虎は行ってしまいました
楊香の勇気と孝心には感動しますが もう少しこのお父さんもしっかりして欲しい
左から2番目 おや?これはあまり見ない構図ですね
でもいつも小心さんの「二十四孝に会いに行く!」で勉強してる私には難なく分かります
これは丁蘭です
いつも丁蘭を嘲笑していた隣人の張叔は 丁蘭の留守中に丁蘭が大事にしていた亡き両親を模した人形を棒で叩きます
この勢いだと人形はかなりのダメージを負ったと思われます
止める素振りをする奥さん
奥さんもこの人形のせいで 通りで三年もの間 詫びを入れさせられてますからね 人形を忌々しく思っている筈
この事を知った丁蘭は張叔を叩きのめして捕まりますが 人形が涙を流したので恐れ慄いた いや 感動した役人は丁蘭を無罪放免にします
親孝行というより 人形が涙を流すという怪奇現象を扱った怪談噺に聞こえてしまいます
3番目は姜詩
姜詩の奥さんは姑の為にいつも遠くまで水を汲みに行ってましたが 天がその孝心に感じて 庭に川を通してくれました
姜詩は 嵐の中水を汲みに行った奥さんの帰りが遅いと言って怒る母(鬼か!)のご機嫌を取る為に 奥さんを家から追い出してしまう様なマザコン旦那ですが 奥さんは健気に耐えています
この姑は相当意地が悪そうです
最後は悪名高き唐夫人(唐夫人が悪い人という意味ではありません)
嫁の乳に吸い付く歯の無い姑
「私の人生って… 一体何なの?」
遠くを見つめる唐夫人です
「ねえ それ僕んじゃないの?」
直パイでなく 器に搾乳して飲ませれば良いのに…
流動食って手もあるんだし…
それがお互いの為と思います
狙ったものかどうかは解りかねますが…
楊香以外はどれもマザコン極道旦那の犠牲になりながらも耐える健気な女性たちに焦点が当たっています
その表情を見る限りあまり幸せではなさそうな…
彫師は分かりませんが 人物の表情の造形から言ってかなりの腕前
親孝行は本人がやるべきもの 嫁にやらすものではないよ
というメッセージが込められている様な気がしてなりません
本年参拝参詣した寺社は以上です
寺社彫刻巡りを指導して下さった方
情報提供をして下さった方々
画題などご教示下さった方々
楽しいコメントを下さった方々
拙い文章を読んで下さった方々に感謝申し上げます
良いお年をお迎えください
来年は松が取れる頃に再開する予定です
来年もよろしくお願い致します
刺青師・龍元
151(2022.12.28)
コメント
私、諸事情で胴羽目彫刻探求に行けない中、龍元さんの記事で『行った気』になれ救われております(笑)、ありがとうございました。来年も期待しております。
ありがとうございますm(__)m
そう思って貰う事がわたしの喜びです。
今年も色々お世話になりました。来年もご指導ご鞭撻よろしくお願いします。良いお年をお迎えください。
onijiiです。
扉の彫刻は緻密で素晴らしいですね。
巨大な四天王は迫力がありました。
昨日行ってきました。(笑)
今年も大変お世話になりました。
おかげさまで彫刻にどっぷりと
ハマらせていただきました。
ありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。
行かれたんですね。やっぱり直に見るのが1番です。大きさから来る迫力は写真では伝わりませんね。
こちらこそonijiiさんのローラー作戦で深みにハマらせて頂き感謝しております。
来年もよろしくお願いします
m(__)m