出典
出典は 児雷也豪傑譚(1839−1868未完)です。第十二遍で作者が一筆庵(いっぴつあん)から柳下亭種員(りゅうかてい たねかず)に交代したタイミングで登場しました。
歌舞伎や浄瑠璃、映画など翻案多数。最近では漫画にもなっていますね。召喚獣は大蛇。児雷也の宿敵です。
歌舞伎や浄瑠璃、映画などへの翻案が多いので、大蛇丸の生い立ちには色々なバージョンがあります。
代表的なものには、
「妙香山で児雷也の師・仙素道人と戦った末に児雷也に退治された大蛇が、執念によって児雷也の手下の黒姫夜叉五郎鬼角(くろひめ やしゃごろう おにかど)に乗り移り、悪賊大蛇丸となって児雷也を襲う」
というのがありますが、実際のところ原作では、夜叉五郎は児雷也が引き取って育てていた捨松(後の姫松力之助)の親の仇として退治されます。
ほぼ入れ替わる様に登場したのが大蛇丸。
大蛇丸物語
越後の郷士 (下級武士) 松崎四郎太夫の子である玉の介が、女の姿で現れた青柳池の大蛇と契りを結んだ。物の怪にたぶらかされる息子を心配した四郎太夫は弓で大蛇を退治する。この事を知った玉の介は青柳池に入水自殺をしてしまった。
退治された大蛇の腹からは人の形をした赤子が出てきたが、その子には鱗があった。
「人間の子供ではない」四郎太夫は殺そうとするが、退治された大蛇の魂が乗り移った下男・穂作が命乞いをして、引き取って育てる事になった。
赤子は笑若(えみわか)と名付けられるが、五歳の時にはすでに力が強く、悪戯が穂作の手に負えないほどであった為に寺へ稚児として預けられた。
寺でも悪行は収まらず、影で蛇若と呼ばれる。笑若が一六歳の時、手を焼いた住職に呼び出された穂作は、涙ながらに笑若に素性を告げた。
「俺の事を影で蛇若などと呼んで何かあるとは思っていたが、そういう事か。これからは母に倣って人を喰らい、ありとあらゆる悪事を働いて人々を苦しめてやる」
逆上した笑若は穂作を斧で打ち殺し逃亡、母の仇として四郎太夫をも殺害して佐渡へ渡り、強盗の首領・大蛇丸となって真野山に棲む。
なかなか壮絶な生い立ちですね。。。数え年の16歳といえば満14、5歳ですから、今で言えば中学生。抑えきれない魔性の衝動の理由を突然親から聞かされ、逆上した訳です。
夜叉五郎と比べると複雑で人間臭いし、割と丁寧に描かれていますね。酒呑童子伝説が下敷きになっていると言われています。
児雷也と並ぶ人気の秘密はこんな所にもあるのかも知れません。それに大蛇は格好良いですしね。
稚児
稚児というのは、大規模寺院において剃髪しない少年修行僧の事。皇族や貴族の子弟が行儀見習いなどで寺に預けられる事もあり上稚児と呼ばれた他、頭の良さを見込まれて僧侶の世話をする中稚児、雇われたり売られてきた下稚児がいた。
髪型は垂髪か稚児髷、化粧をして水干や振袖でを着た。
刺青師・龍元
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