仙人の座す処 前林善右衛門 [飯高神社 其の二 御本殿] 千葉県

飯高神社御本殿 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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飯高神社 其の一 からの続き

玉垣には左右に大きな門があり、右側の門が解放されていて玉垣内に入れる様になっていました。

宝暦七年(1757)本殿彫刻制作
本殿彫師 前林善右衛門

向拝

飯高神社御本殿

向拝中備には仙人たちの彫り物がありました。

向かって左は「王質おうしつ」または「爛柯らんか」「仙人の烏鷺うろ」。木こりが仙人たちの囲碁を観戦していたら、いつの間にか斧の柄が腐るほど時が経っていた、という不思議な話。

仙人の烏鷺

中央は「馬師皇ばしこう」。その名声は天まで聞こえて龍が診てもらいに来たという馬の名医。

馬師皇

向かって右は、虎をボディガードにした伝説の名医「董奉とうほう」。お金は取らず、杏を植えさせたそうです。

董奉
飯高神社御本殿

右面

大虹梁上には「布袋尊」の彫り物。だいぶ出来上がっている様子。

布袋と唐子

大きい胴羽目は彫りが浅い傾向にありますね。

飯高神社御本殿

左側の胴羽目は生命を司る「西王母」。

西王母

右側胴羽目は変わり者の「寒山かんざん拾得じっとく」。ウィキペディアによると風狂の僧だそうです。

寒山拾得

背面

飯高神社御本殿

向かって左側胴羽目。蝦蟇仙人こと劉海蟾りゅうかいせん。16歳で科挙の試験に合格した秀才。呂洞賓りょどうひんに出会い仙人になりました。

蝦蟇仙人劉海蟾

かつて陜西省せんせいしょうの太華山と少華山はひとつだったが、「巨霊人きょれいじん」が山を二つに分けて黄河がまっすぐに流れるようにした、らしい。

巨霊人

蕭史しょうしか?と思ったけど、鳥は鳳凰じゃなくて山鵲さんじゃくっぽい。それに蕭史は左面にあるので違うと思います。

?蕭史?

左面

大虹梁上には大黒天。

大黒天
飯高神社御本殿

左面左側は鳳凰を呼び寄せる事ができる「蕭史しょうし」。蕭史は蕭という楽器を吹いているもの、と思っていましたが、三才図絵の蕭史は縦笛を吹いています。 〜追記(2022.05.08)しょう(簫とも書く様です)というのは東アジアの縦笛、しょうというのは雅楽で使われ、違う楽器ですが、蕭史はどちらの場合もある様です。 追記終わり〜

蕭史

右側の胴羽目は梅と鶴をこよなく愛する「林和靖りんなせい」で間違いないと思われます。

林和靖

脇障子は両側とも鶴亀でした。

刺青師・龍元

287-02(2020.12.16)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    こちらの神社はSさんに教わった芝山町の
    高野神社の力神の確認時に、足を延ばして
    行きました。
    あまりの数によく見てませんでした。
    写真で見ると、中々味わい深いですね。

    • 龍元 より:

      あまり数があると疲れてしまいますよね。

      ここの玉垣には屋根が付いていて、欄間は下から覗き込まないと見えなかったので、写真を撮る時はスクワットをしなければならず非常に疲れました。

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