令和三年八月、埼玉県寄居町の佐太彦神社に参拝しました。
拝殿はあっさりしています。
裏へ回ります。御本殿は石垣の上に、大きめの庇つき透塀で囲われていました。
正面破風の懸魚は応龍。
その下の向拝懸魚には鳳凰。
御本殿身舎は見事な彫り物で飾られていました。
扉には金嚢・宝珠・打出の小槌・七宝・丁子。脇板には登り龍です。
御本殿右面胴羽目は黄石公と張良。石垣の上に鎮座しているので、私の目線だとこうなります。
黄石公。ちょっと顔が歪んでいますが、これが浮き彫りの良い所でもあります。見る角度で表情が変わって面白い。
下から見ると張良は貫禄があります。
正面から見るとこんな感じ。張良も案外若く見えます。
脇障子の前には障害物がありました。
梅妻鶴子の林和靖。
林逋とも言います。
背面に回ります。
「おのれ、小童め!斬り殺してくれる!」と邪悪な天狗
「受けて立とうぞ!」と少年剣士、、、ではなく、
猿田彦命と天鈿女命。
左面です。
「そんな真っ直ぐな針で何か釣れますかな?」
「お〜ほっほっほ、私が釣ろうとしている物は魚ではありませんのじゃ。私が釣ろうとしているモノ、そう!それは天下ですのじゃ、お〜ほっほっほっ!」
呂尚(太公望)と周の文王の邂逅。
こちらにも障害物が。。。
脇障子は老人が滝を見ているので、李白観瀑だと思います。
正面扉は右側の反転。脇障子は降り龍です。
縁下四隅には龍の持ち送り。腰羽目は無しでした。
透塀には大きい庇が付いていて御本殿に近いので、風雨をよく凌げるためでしょうか、比較的鑑賞しやすい割には保存状態の良い御本殿でした。
脚立か如意棒があると良いと思います。
刺青師・龍元
111(2021.09.16)
コメント
onijiiです。
顔の表情は角度によって全く変わりますね!
喜怒哀楽を表現する当時の彫り師の技量は
凄いですね!!
セリフが冴え渡ってます!!!(笑)
扉の彫物の名称は知りませんでした。
金嚢(きんのう)→財布なんですね。(笑)
角度によって表情が変わるのは能面に通じるものがありますね。
埼玉県北西部は人物の表情が豊かな彫り物が多いですね。
良い彫り物はじっと眺めていると勝手に喋り出します。
実は私は、金嚢という名前は知ってましたが、最近まで宝袋の事だと思ってました。
お財布なんですね。
嚢は袋ですから金◯袋を想像しちゃいますね。